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お知らせ・コラム

健診で「視神経乳頭陥凹拡大」と言われたら?受けるべき検査とは

8月22日
読了時間: 6分
【この記事の要点】 健診で「視神経乳頭陥凹拡大」と指摘された場合、緑内障の可能性を含むため、眼科での精密検査(OCT・視野検査など)が勧められます。指摘された方の全員が緑内障というわけではなく、生まれつき陥凹が大きい方もいます。緑内障は早期に発見して治療を始めることで進行の抑制が期待できます。自覚症状がなくても、一度は眼科を受診しましょう。

健康診断や人間ドックの結果票に「視神経乳頭陥凹拡大(ししんけいにゅうとうかんおうかくだい)」と記載されることがあります。

この記事では、この指摘が何を意味するのか、なぜ精密検査が勧められるのか、検査では何をするのかを、順番に解説します。

正常な眼底写真の例。右側の明るい円形の部分が視神経乳頭(画像:Wikimedia Commons/Mikael Häggström氏撮影・パブリックドメイン CC0)
正常な眼底写真の例。右側の明るい円形の部分が視神経乳頭(画像:Wikimedia Commons/Mikael Häggström氏撮影・パブリックドメイン CC0)

視神経乳頭陥凹拡大とは、どんな指摘ですか?

視神経乳頭とは、目で受け取った光の情報を脳へ伝える「視神経」が、眼球の外へ出ていく出口にあたる部分です。健診では眼底写真を撮り、この視神経乳頭の状態を確認します。

視神経乳頭の中央には、誰にでも「陥凹(かんおう)」と呼ばれるくぼみがあります。緑内障などで視神経の線維が減ってくると、このくぼみが大きくなることが知られています。

「視神経乳頭陥凹拡大」とは、このくぼみが標準より大きく見える、という眼底写真の所見です。

つまり「緑内障が疑われるサインの一つが写っているので、詳しい検査を受けてください」という意味の指摘です。


指摘された人は、みんな緑内障なのですか?

いいえ、全員が緑内障というわけではありません。

生まれつき視神経乳頭の陥凹が大きい方(生理的陥凹拡大)もいますし、近視が強い方では視神経乳頭の形の評価が難しく、疑いとして指摘されやすい傾向があります。

一方で、眼底写真だけでは「緑内障かどうか」「治療が必要かどうか」までは判定できません。緑内障かどうかは、OCT検査や視野検査などを組み合わせて、眼科で総合的に診断します。

「指摘=緑内障」ではありませんが、「指摘=精密検査で確かめる価値がある」とお考えください。

症状がないのに、なぜ放置しないほうがよいのですか?

緑内障は、視神経が少しずつ傷み、見える範囲(視野)が徐々に欠けていく病気です。

進行は多くの場合ゆっくりで、片方の目の見えない部分をもう片方の目が補うため、かなり進行するまで自覚症状が出にくいことが知られています。

日本のデータでは、次のように報告されています。

  • 40歳以上の7.6%が緑内障(久山町研究・2022)※1

  • 緑内障のある方の約9割が未発見・未治療(多治見スタディ・2004)※2

  • 日本の視覚障害の新規認定原因の第1位は緑内障(全国調査・2023)※3

一度失われた視野は元に戻せません。その一方で、早期に発見し、眼圧を下げる治療を続けることで、進行の抑制が期待できます。

健診での指摘は、症状が出る前の段階で緑内障を見つけられる貴重な機会といえます。


眼科の精密検査では何をするのですか?

主に次の4つの検査を行います。いずれも身体への負担が少ない検査です。

  • 眼圧検査:目の硬さ(眼圧)を測ります。日本人の緑内障には眼圧が正常範囲の方も多いため、眼圧だけでは診断は決まりません。

  • 眼底検査:医師が視神経乳頭の形や網膜の状態を直接観察します。必要に応じて瞳を広げる目薬(散瞳薬)を使うことがあります。

  • OCT(光干渉断層計)検査:視神経周囲の神経線維の厚みなどを測定し、視神経の状態を数値で詳しく評価します。撮影は数分程度です。

  • 視野検査:見える範囲に欠けがないかを片眼ずつ調べる検査です。緑内障の診断と、その後の経過観察の中心となる検査です。

検査結果は、緑内障診療ガイドライン(第5版)※4 などの基準を踏まえて総合的に判断します。

1回の受診で判定がつかず、期間をあけて再検査を行いながら慎重に経過を見ることもあります。


緑内障と診断されたら、どうなりますか?

現在の緑内障治療の基本は、眼圧を下げて視神経への負担を減らすことです。

多くの場合、まず眼圧を下げる点眼薬から治療を始め、定期的な視野検査で進行の有無を確認しながら治療を続けます。病状に応じて、レーザー治療や手術が検討されることもあります。


受診の目安

健診結果票に「視神経乳頭陥凹拡大」「要精密検査」と記載があった場合は、自覚症状がなくても、一度眼科で精密検査を受けることをおすすめします。

緊急を要することはまれですが、結果票を放置せず、都合のつくタイミングで受診し、緑内障かどうか、経過観察が必要かどうかを確認しておくと安心につながります。

受診の際は、健診の結果票(眼底写真があればその画像も)をお持ちください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 自覚症状が何もなくても、受診したほうがよいですか?

A. はい。緑内障はかなり進行するまで自覚症状が出にくいことが知られており、日本では緑内障のある方の約9割が未発見・未治療であったと報告されています(多治見スタディ)※2。症状の有無にかかわらず、精密検査を受けることをおすすめします。


Q2. 「視神経乳頭陥凹拡大」と言われたら、緑内障ということですか?

A. いいえ。生まれつき陥凹が大きい方もおり、指摘された方の全員が緑内障ではありません。緑内障かどうかは、OCT検査や視野検査などを組み合わせて眼科で診断します。


Q3. 精密検査に痛みはありますか?どのくらい時間がかかりますか?

A. いずれも痛みはほとんどない検査です。散瞳薬を使う場合は効果が出るまでの待ち時間と、検査後数時間の見えづらさがあるため、当日は車の運転を避けてご来院ください。


Q4. 緑内障と診断されたら、失明してしまうのでしょうか?

A. 一度失われた視野は回復しませんが、早期に発見し、眼圧を下げる治療を継続することで進行の抑制が期待できます。診断がついた場合も、定期的な検査と治療の継続が大切です。


Q5. 何年か前にも指摘されましたが、そのままにしていました。今からでも受診すべきですか?

A. はい。時間が経っていても、現在の視神経と視野の状態を確認する意味は変わりません。前回の健診結果もあわせてお持ちいただくと、変化の有無の参考になります。

医師監修:板橋もりや眼科 院長 守谷元宏 日本眼科学会認定 眼科専門医/難病指定医/身体障害者福祉法第15条指定医/慶應義塾大学医学部眼科学教室 特任助教 慶應義塾大学病院眼科(緑内障班)で緑内障手術指導に従事(執筆時現在)。

【参考文献】

※1 Fujiwara K, et al. Transl Vis Sci Technol. 2022;11(11):11. doi:10.1167/tvst.11.11.11(久山町研究)

※2 Iwase A, et al. Ophthalmology. 2004;111(9):1641-1648(多治見スタディ)

※3 Matoba R, et al. Jpn J Ophthalmol. 2023;67(3):346-352. doi:10.1007/s10384-023-00986-9

※4 日本緑内障学会. 緑内障診療ガイドライン(第5版). 日本眼科学会雑誌. 2022


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